2011年受賞作品

受賞作品|審査員講評|3次審査風景

審査員講評

関東・関西審査委員長 伊久 哲夫 (積水ハウス株式会社 取締役 常務執行役員)

5月のプレ審査応募に始まり3次審査まで、半年間にも及ぶ本コンペの最大の特徴はそのプロセスにあります。
住空間ecoデザインというテーマ性はもちろん、独創性・実現性に応えるために、如何に学び成長できたかが大きな評価ポイントです。また今年は大震災からの復旧復興という新たなテーマも問われました。
改めて参加される学生諸君にお願いしたいことは、リアルサイズで考えるコンペの過程で「WEB情報ではなく実現場を知ること」「テーマに対して真剣に向き合うこと」「多くの人と係わること」そして「モノづくり現場での実体験をもつこと」です。その成果が滲み出た作品ほど最終的に評価されています。
その観点からも今回の入賞作品は、優秀ではあるものの各審査委員の期待に十分応えるまでには、まだブラッシュアップの余地を残していると思います。今後の更なる進化と成長に期待します。


関西審査委員 中村 勇大 (京都造形芸術大学 芸術学部 環境デザイン学科 教授)

未曾有の大震災が、環境を学ぶ学生たちにどのような影響を及ぼすのか。まさにこのコンペティションが問い合わせていました。私たちの身近な住生活や地球環境に対する配慮と、自然の驚異に立ち向かう姿勢とは無関係ではありませんでした。多くの提出作品の一つ一つがセンシティブで繊細であり、日常生活の忙しさから忘れられている、単にモノの明快な意味や価値だけには留まらない、言葉では表現できない感覚や感性を喚起させるメッセージであるように感じとれました。やはりこのコンペティションがあり続けることの意義が存在します。純粋な学生たちがいる限り。


関東審査委員 岩村 和夫 (東京都市大学 都市生活学部 都市生活学科 教授)

半年にも及ぶ段階を追ったキャッチボールがあり、最後はリアルサイズのものを作って競う、この稀有なコンペのプロセスでは、様々な学びや気づきがあります。従って、審査の要点はリアルサイズ模型の出来栄えだけではありません。この過程を通じて提案者がどんな努力をし、学び、その上でどうジャンプして情報発信しているのかが問われているのです。優れた作品には、取り組んだテーマと原寸模型等に凝縮して表現されるアイデアとの間の中に説得力のある関係性があり、課題の克服に注がれた思いが滲み出ています。今回全般的に「エコ」への取り組みが不明瞭だった観は否めませんが、今後のさらなる発展を期待します。